第五回入選作品 -平成二十五年秋~平成二十六年秋の部-
選句者:棚橋 嘉明
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噛み跡の付きたる鮎を拝しけり
瀬戸市 O様
噛み跡はまさに鵜が捕った鮎のあかし。このめぐりあわせに思わず手を合わせて頂く。
路地を守る屋根神様や川涼し
岡山市 S様
昔ながらの家並みが残る川原町を散策。今では珍しくなった屋根神様に目がとまった。
万緑の山押し上ぐる城一つ
犬山市 N様
夏空のもと金華山は木々の緑が生い茂り、頂に立つ岐阜城をいっそう引き立たせている。
ふるさとの山河変らじ鵜飼宿
恵那市 M様
久しぶりに十八楼に泊まる。芭蕉が詠んだこのあたりは昔のままの景色、なつかしい。
春惜しむ瀬音枕の老舗宿
橿原市 N様
創業150余年を誇る十八楼。枕近く長良川のせせらぎを聞きながら春の夜の眠りにつく。
天蓋の松の花咲く芭蕉句碑
あま市 N様
十八楼の庭に芭蕉の句碑が立つ。それを覆い守るかのような松の枝に薄茶色の花が咲く。
鵜かがりの六艘揺れし絵巻かな
横浜市 I様
長良川ともに流れて鰯雲
名古屋市 Y様
ほうほうと鵜へ励ましの舟叩く
新潟市 S様
鵜の涙つらいだろうに誇らしげ
埼玉県 S様
腰蓑のゆれて鵜の吐く鮎二匹
長久手市 T様
川の字に寝て鵜飼宿今朝の秋
小牧市 T様
川風に鵜飼の余韻戻り船
川崎市 H様
川風に揺れる提灯涼み船
水戸市 O様
陰影の深き鵜匠の顔りりし
北本市 N様
つづみの音かすかに聞きし鵜飼船
草津市 H様
千年の烏帽子に火の粉鵜飼かな
大垣市 I様
大長良跨ぎ夕虹かかりけり
知立市 O様
湯につかりつかれストレスどこへやら
川崎市 M様
春風や走り出したるランドセル
神戸市 N様
冬星座真夜の母娘の露天風呂
仙台市 S様
千両に雨粒光る芭蕉句碑
名古屋市 U様
せせらぎの音を枕の鵜飼宿
上越市 S様
鵜匠と鵜繋がる手縄絆あり
名古屋市 F様
宴(うたげ)終わり薪の香残る鵜飼あと
東京都 Y様
初めての父子の旅なり浴衣着る
厚木市 S様
かがり火の照らし出したる鵜の猛り
徳島県 E様
穂芒や宿の要の芭蕉句碑
大阪市 H様
鵜飼待つそぞろ歩きにかヽる虹
名古屋市 H様
鵜匠の目優し鵜を見る鳥屋の中
稲沢市 M様
山頂に孤高の城や風光る
大垣市 W様
晩秋の櫂眠らせて鵜飼舟
松戸市 O様
かがり火の炎(ほのお)の向こうに亡夫の顔
東京都 A様