第四回入選作品 -平成二十四年夏～平成二十五年夏の部-
選句者：棚橋 嘉明
※ 無断転載・複製を禁じます。
漁終えて舟足軽き鵜舟かな
徳島県 T様
注目の的であった鵜舟が引き返して行く。「舟足軽き」に鵜匠や観客の思いがこもる。
一つ葉のひとつひとつに美濃の雨
横浜市 T様
金華山に群生する一つ葉は夏の季語で芭蕉の句にも登場する。そのすべてに岐阜の雨。
ほうほうとかがり火六連夏来たる
東京都 S様
総がらみで鵜飼は最高潮に。その光景と鵜匠の鵜をはげます声が夏の訪れを演出する。
鵜の塚の彫りの文字（もんじ）に枯蟷螂
名古屋市 Y様
鵜塚は長良川鵜飼の鵜を供養する塚。その石碑につかまる老かまきりが目にとまった。
懸命につとめを終えし若鵜の眼
愛西市 S様
鵜匠に引き上げられた若い鵜が船べりに休む。その碧眼に視線を向ける作者の眼。
火の粉跡残る鵜匠の頭巾かな
揖斐川町 T様
篝火の火の粉を幾度となく浴び観客を楽しませた鵜匠。頭巾の焦げ跡はまさにその勲章。
水澄めり家族と共に金婚式
大垣市 H様
鵜飼果てかがり火川へ沈めけり
いなべ市 M様
鵜飼果つ籠へ番いの鵜を納む
いなべ市 M様
川風に去りゆく夏をなつかしむ
岐阜市 I様
追ひ込みの果てて静寂（しじま）の鵜飼舟
岡崎市 O様
鵜飼場へ水きらめかせ屋形船
四日市市 H様
夕べ見し鵜飼果てたる川迅し
滑川市 Y様
長良川瀬音が運ぶ涼の風
氷見市 H様
梅雨晴れ間流れ瀬にして句碑の立つ
尼崎市 T様
火の粉舞ひ川面の燃えし鵜舟かな
奥大津市 Y様
めい想の小径を下りて薫る風
鈴鹿市 I様
翁ゆかり宿に集ひて晦日そば
姫路市 S様
長良川流れもはやしとしのくれ
一宮市 S様
鵜飼舟川面に火花咲かせけり
昭島市 K様
ながら川うがたくさんのアユをとる
豊田市 T様
月天心佳境に入りし鵜飼かな
名古屋市 G様
篝火を水面に曳きて鵜飼舟
滋賀県 S様
岐阜城に月のかかりて鵜飼果つ
大阪市 H様
昨夜乗りし鵜舟に鷺の来たりけり
横浜市 O様
長良川早瀬にまぢる鳰（にほ）の声
各務原市 I様
鵜飼絵の描（か）かれて扇においたつ
厚木市 S様
腰蓑を凛と結びて老鵜匠
茂原市 H様
玻璃越しの景の山波薄紅葉
一宮市 K様
錆色の露天の湯より野分波
春日部市 T様
初紅葉懸かりはせをのまろき句碑
西瑳市 S様
船べりに疲れ鵜足し餌貰ひけり
川崎市 T様
