第三回入選作品 -平成二十三年秋~平成二十四年夏の部-
選句者:棚橋 嘉明
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錦秋や大河に迫る金華山
名古屋市 N様
「錦秋」は紅葉が錦のように美しい秋。長良川とその岸辺近くにそそり立つ金華山とは岐阜市の象徴。
紅葉に彩られた金華山が澄んだ川面に映え、まさに大河に迫る秋晴れ。
芭蕉翁ゆかりの宿やひな飾り
大町市 S様
「十八楼の記」で有名なこの宿に泊まった。折から三月。はなやかな雛飾りに旅の心が和む。
古来からの伝統行事に芭蕉をしのび、目を休ませている。
行く雲も行く川波も秋の色
刈谷市 A様
屋形船鵜飼も終わり一休み
三好市 O様
冬日和翁泊まりし楼に立ち
犬山市 A様
篝火を遠くで見ているお月様
栗東市 H様
水温み出番まだかと屋形船
美濃市 T様
白鷺や瀬音奏でる川の宿
宝塚市 K様
川岸に干せし鵜籠の五つ六つ
横浜市 K様
長良川鵜もひとやすみ昼下がり
川崎市 M様
五月雨に野鮎も育て長良川
掛川市 O様
今獲れしばかりの鮎を手に受ける
鯖江市 H様
天に城河に鵜篝あかあかと
鯖江市 T様
紫陽花と川の流れに見る生命(いのち)
刈谷市 O様
瀬の音の一時高き穀雨かな
浜松市 U様
「穀雨」は穀物を育てる春の雨。宿の間近を流れる長良川にも恵みの雨が降る。
蕉翁に似たる鵜匠の無表情
長野県木祖村 Y様
「おもしろうてやがてかなしき鵜舟かな」と詠んだ芭蕉に鵜匠の表情が重なる。
出で湯より鵜飼終へたる河眺む
鯖江市 T様
鵜飼見物も終え、温泉に浸かる。暗く静かに流れる長良川にその余韻が残る。
平成24年8月までの選句分